■ 治療
■ 体外受精・胚移植
体外受精・胚移植(以下IVF-ET)の医学的適応は
- 両側卵管が完全閉塞しているか、あるいは手術で卵管を取ってしまった卵管性不妊。
- 無精子症のうち精巣あるいは精巣上体に成熟精子が認められる男性不妊症例。
以上の2つがIVF-ETの絶対的適応になります。
その他の適応は
- 乏精子症、精子無力症があり、その原因究明のために専門医による診察・検査が行われ、治療が一定の期間行われたにもかかわらず回復が認められず、人工授精によっても妊娠成立にいたらない場合が適応となります。
- 女性に抗精子抗体が存在して、それが原因で人工授精まで試みても妊娠が成立しない場合。
- その他に、現在の医学水準では分からない不妊因子(原因不明不妊)もあるはずです。その不妊因子が分からないから適応にならないと言うのでは、妊娠の機会を逸してしまうかもしれません。積極的卵巣刺激(排卵誘発)や人工授精を試みたにもかかわらず妊娠に至らない場合があります。そのような場合も適応になります。治療歴や対象者の年令を考慮したうえで決めます。
日本産科婦人科学会の会告によると、IVF-ETの適応は「本法は、これ以外の医療行為によって妊娠成立の見込みがないと判断されるものを対象とする。」とされています。こらは、有効性が期待できる他の治療が存在する患者さんに対して、それらの治療を先行させることなくIVF-ETを安易に行うことに対する戒めであると解釈できます。
原因不明妊娠の中には、実際に体外受精を行ってみると、原因が見えてくる事があります。
- 卵巣刺激をしてみると卵胞が育たないことがあります。こういう方は卵巣予備能が低下している状態です。原因は年令、遺伝的、免疫的などが考えられます。卵巣刺激開始前のホルモン検査や超音波検査である程度の予想は可能です。
- 精液検査では精子数、濃度、運動率、奇形率は正常で精子には問題ないと言われていた方のなかにも、実際に体外受精を行ってみると、精子が卵子を囲んでいる透明帯という膜を通過できないなどの問題が起こってくることがありあます。従来の検査では分からなかったことですが、精子の能力に問題があることが分かります。顕微授精を行って精子を卵子の中に人工的に直接送り込んでやります。
- 精子が透明帯を通過できても精子の核(遺伝子本体)が卵子の核と融合できないことがあります。つまり、授精ができないことになります。卵子や精子の質の問題になります。
- 授精ができても受精卵が分割する段階で停止してしまう成熟障害があります。これは卵子の質の問題になってきます。卵子の染色体の異常、加齢による卵子の質の低下(卵子の老化)などが原因です。
- 良好な胚まで成熟して、それを子宮に戻しても(胚移植)妊娠にいたらない場合は胚と子宮内膜、および両者の相互関係に問題があります。着床の問題は多くの研究者が解決に取り組んでいますが、クリアできない大きな問題の一つです。
このように、IVF-ETの各ステップを踏む過程において問題が見えてきます。
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